2025年度、文部科学省は全国学力・学習状況調査において、中学校理科で初めてCBT方式(Computer Based Testing)を導入しました。これは、紙ベースの試験から、ICT端末を活用したオンライン形式への大きな転換です。教育現場では、評価の方法だけでなく、学びのあり方にも変化が求められています。
CBT方式とは?
CBT(Computer Based Testing)とは、コンピュータを使って試験を実施する方式です。全国学力テストでは、生徒が一人一台の端末を使い、文科省が開発した「MEXCBT(メクビット)」というシステム上で問題に回答します 。
✅ CBT導入のメリット:
- 解答データのデジタル化による分析の高度化
- 多様な出題形式(動画、シミュレーションなど)への対応
- 教員の採点・集計負担の軽減
MEXCBTの機能・特徴
✅ アダプティブテスト対応
受験者の解答に応じて、次に出題される問題の難易度が変化する仕組み。少ない問題数で高精度な理解度測定が可能
✅ 多様な出題形式
- 選択式、記述式、動画・音声付き問題など
- 理科では実験動画を見て考察する問題も導入
✅ 学校・家庭での活用
- 授業中の理解度チェック
- 宿題や家庭学習の補助
- 学力調査や振り返り活動
中学校理科での導入内容
- 実施期間:2025年4月、全国の中学3年生を対象に実施
- 出題形式:公開問題と非公開問題を組み合わせた構成
- 評価方法:IRT(項目反応理論)に基づくスコア返却
📊 IRTスコアとは?
各生徒の正誤パターンから学力を推定し、全国平均を「500」として数値化。年度をまたいだ比較が可能になります。
教育現場での活用
- 学校ごとの結果分析により、指導改善や教材選定に活用
- 生徒個人票をもとに、個別指導や学習支援の精度向上
- CBTに慣れることで、将来的な大学入試や資格試験への対応力も育成
今後の展望
文部科学省は、2026年度以降に英語(中学校)、さらに将来的には全教科でのCBT化を目指しています。これにより、教育評価の質と効率が大きく向上することが期待されています。
まとめ
全国学力テストのCBT化は、単なる試験形式の変更ではなく、教育のデジタル化と個別最適化の第一歩です。中学校理科での導入を皮切りに、今後の教育評価のあり方が大きく変わっていくことが予想されます。
教育現場では、ICT環境の整備とともに、子どもたちが安心して新しい学びに取り組める支援が求められています。